LaCie RUFWU3B LaCieRugged TRIPLEUSB 3.0 重度物理障害データ復旧
カテゴリ:ハードウェア, 外付けHDD pcfixs_f.iino | 2021/09/25
LaCie RUFWU3B LaCieRugged TRIPLEUSB 3.0のデータ復旧事例です。
突然認識しなくなったとのことでお預かりです。
内蔵HDDはST2000LM007です。
診断の結果は重度物理障害、磁気ヘッドが本来の位置ではなくプラッタ上で固まっている状態でした。
業界内ではこの状態を、「ヘッド吸着」や「ヘッドスタック」と呼びます。
完全に固まってモーターが回らないので、この状態から正しい位置に戻します。
なお、単に戻すと言っても正しいテクニックが必要で、正しく実施しないとヘッドもプラッタも破損してしまいます。
無事、オレンジ色のパーキングランプの上に戻りました。(ヘッドに故障がある場合はこの処置だけではなくヘッド交換が必要となります。)
なお、超精密機器ですので、これだけでHDDが元どおりになりデータ復旧が終わりというわけではありません。
なぜならプラッタ上にヘッドが接触した際にプラッタにもダメージを与えているからです。
データ復旧専用装置で制御してデータを抜きとらなければ、簡単にヘッドが故障し、プラッタのダメージも広がってしまいます。最悪な場合は、そのままデータ復旧不可となってしまいます。特にSMR方式になったモデルは、かなり繊細で万全の注意が必要です。(今回のモデルもSMRです)
時折「データ復旧費用を安価に済ませたいので、物理的な処置だけ行ってもらえば、あとは自分でデータコピーします」というようなご依頼をいただくのですが、以上の理由から全てお断りしています。
クリーンベンチ内の処置が済めば、故障前の正常HDDに戻ったわけではありません。あくまで壊れた状態から、なんとかデータが救出できる程度まで仮修理した状態にすぎません。そこからデータを抜き取る為には、正しく制御しなければ、あっという間にまた壊れてしまいます。。。
さて、今回の結果ですが、慎重に制御し追加のヘッド交換をすることなく、ほぼ全てのデータを迅速に救出いたしました。
なお、仕事の都合上翌日までにデータが欲しいとのご要望だったので、必要データのみ当日中に納品し、納期に間に合わせることができました。
無事ご期待に応えられよかったです。ご依頼ありがとうございました。